起業の具体的行動
札幌市のアロマ空間デザイナー 志摩です。
働く女性のための雑誌『日経ウーマン』2020年6月号にて、私の仕事を紹介していただきました。
会社員時代は、雑誌を『見る側』の人間だったのに、『載る側』になったのは、ちょっと不思議な感覚です。
私の仕事に興味を持って取材をしてくださった編集長に感謝申し上げます。
取材を受けて、自分自身の良い振り返りの機会となりました。
取材テーマの『収入ダウンorアップで幸せを手に入れた実録!』というのは、私が起業したテーマの本質でもあります。
今の私は、『収入ダウンで幸せ』です。
でも、ずっとダウンするわけではありません。
「ダウンは一時的なもの」だと思っています。
会社員から個人へと独立したとき、一時的に収入がダウンする道のりを選んだことを、心で受け入れ、幸せを感じられるメンタルに切り替えていきました。
頭ではなく、心で。
勉強のし過ぎは、頭痛がします。
誰かに何か言われたりすると、胸が痛みます。
だから、心って、心臓のほうにあるのでしょうかね。
それはさておき。
雑誌掲載の記念に、もしも、札幌にお住いの女性で、札幌市のサポートを活用して起業するヒントとなれば嬉しいなと思い、自分が行動した具体的な内容を残します。
目次
退職前
起業という形を知る
固定給で働いていた私。固定給の範囲内で、一所懸命に働いていました。
そうすると、やはり思うわけです。
「あの人より仕事してるのに報われない」という自我が生まれます。
上司の言葉にハッとした瞬間がはっきりとありました。
「給料は天井あるのに、目標には天井ないからね。」
雇われて会社の給与体系に身を置くのか、給与は自分の裁量で決めるのか、今の働き方とは違う人生があるかもしれない、と気づいたのです。
組織のポジションで輝く人、個人で事業をして輝く人、自分は後者の働き方が好きなのかもしれないと感じ始めました。
起業を決意
『整理収納サービス』に興味があり、会社に勤めながら取得していた資格がありました。
そこから何ができるか考えました。
クライアントが『片づけ』のゴールにたどり着いたときに、私が提供できることは何だろうか。
良い香りがあったらいいじゃないか!
そこからさらに調べました。Googleとずっと会話しました。
調べて調べて、たどり着いたのが、アロマの香りで空間を心地よくするサービスを提供すること。
そしてそれは、東京の外資系ホテルやクリニックで大いに活用されていること。
ノウハウだけを知っても、それは心を持たない業者になってしまうと感じ、アロマテラピーの知識が必要だと思いました。
ここまで構想が思い描けたタイミングと、会社での出来事が起きたタイミングが重なったので、退職と起業を決意しました。
アロマの資格を取っておく
起業決意の3か月前に「アロマの知識が必要」と考えていたので、アロマテラピー検定1級の試験申し込みを退職前にしていました。
会社員生活とアロマの勉強を並行する時間の始まりです。
1級試験は無事に合格し、次はアロマテラピーインストラクター試験と講座の申し込みをしました。
インストラクターまで目指したのは、アロマテラピーを人に教えられなければ意味がないと思ったからです。
会社の休日が土日祝だったので、インストラクターの講座は日曜のクラスに参加しました。
平日は仕事、休日はアロマの話ができる環境は、楽しくてメリハリのある期間を過ごせました。
インストラクター試験の2ヶ月前に有給消化に入り、試験直前は勉強に打ち込みました。
無事に一発合格。
起業を決めて、既に退職していたので、合格以外の選択肢はありませんでした。
最終出勤~有給消化
10年勤めたとはいっても、意外とそれほど灌漑にふけることもなく、サクッと荷物を持って会社を去りました。
でも、花束を思ったよりも多くいただいたのはちょっと嬉しかったです。
自宅で生けて眺めると、色々思い出すものもありました。
有給消化では、思い切り遊びました。
「いつか」と思っていたことをできるだけしました。
起業後は、定年のない世界に飛び込むことになるので、今できることを全力でやりました。
会社員卒業旅行として、高野山へ3泊4日で行きました。
元同僚と、旭川支社の同僚と飲む!旅行をしました。
ニセコで初めてのラフティングをしました。
開業準備
アロマ空間デザインの勉強で東京へ
アロマ空間デザインって、実際どうやるの?
空間に香りを広げるとは?
どのくらいの噴霧量?時間は?
東京でスクールを行っている会社の講座を受講しました。
仕入先の決定(アロマディフューザー、精油)
アロマディフューザーは、性能と見た目が気に入ったものを選びました。
エアアロマ社のブレンドエッセンシャルオイルを嗅いだその瞬間、香りに惚れました。
空間芳香用に創られた香りは、軽やかでみずみずしく、空間の邪魔にならないのです。
単品精油は、講座などでも使用するので、受講生の方も買いやすい、且つ、私自身も買いやすいものを選びました。
ですので、札幌のステラプレイスや大丸、三越などで取扱いのある会社から卸してもらえるよう手続きをしました。
ホームページを自分で作成
WordPressを使用して自作しました。経費削減です。
前職の知識を活かせました。
今後、自力では限界を感じるようなデザインのホームページに切り替える必要が出た場合は、資金を使っての外注を検討します。
情報は全国から、行動は札幌で
私の活動地域は札幌ですが、情報は全国からインターネットで収集しました。
まったく別の地域の女性創業者で、「日本政策金融公庫の融資を受けたことから、地域の助成金の情報を得たり、商工会議所と繋がり視野が広くなった」という記事を見つけました。
融資を受ける
資金繰りの面で、融資を受けることを検討し始めました。
例えば、アロマディフューザーを同時に○○台発注いただいたら、一時的に○○万円の資金が必要になるため、融資を受けて事業をしようと決めました。
ですが、いきなり金融公庫へ足を運ぶのは恐かったです。
事業計画も心もとない状態の創業者に貸してくれるのか不安でした。
まずは、『札幌 起業 相談』で検索しました。
札幌市男女共同参画センター(https://www.danjyo.sl-plaza.jp/)のホームページにたどり着き、起業相談をしているとの情報を見つけました。
ひとまず電話してみました。
事業計画の書き方や、融資を受けるときの下準備の相談にも乗ってくれる『北海道よろず支援拠点』(https://yorozu.hokkaido.jp/)を紹介されました。
電話の際に、自分の事業内容を詳しく聞いてくれて、私の事業と分野が合う相談員を当ててもらいました。
主担当以外の方でも、会計が絡む書類の相談の際には、会計専門の相談員が同席、営業戦略の話題のときには、その専門の相談員が同席するといった形で進んでいきました。
何度か足を運び、事業計画書も完成、同じビル内にある日本政策金融公庫に借入れの申し込みをし、無事に融資実行の運びとなりました。
このとき、よろず支援の方が同行してくれて、とても心強かったです。
開業
開業届提出
融資実行が決まった頃に、開業届を提出しました。
自宅から近い税務署へ。
婚姻届を出すくらいの緊張感で向かいましたが、ものすごくあっさりと受理されて拍子抜けしたのを覚えています。
プロフィール撮影
ホームページに顔写真を掲載するかしないか、という問題。
事前に私の顔を確認してから実際にお会いする方が、相手の方に安心していただけるかと思い、掲載することにしました。
私が逆の立場だったら、先にどんな顔の方なのか分かっているほうが安心します。
撮影は、知人の紹介で知り合ったカメラマンにお願いしました。
植物を扱う仕事なので、自然を感じられる背景で撮りたい意思を伝えると、快く前田森林公園まで足を運んでくださり、撮影しました。
すごくお気に入りの写真が撮れました。
ラジオ出演
日本政策金融公庫で融資を受けた際に担当してくれた方の繋がりから、札幌商工会議所のラジオ番組に出演させていただきました。
15分程度、自分の事業の説明と、アロマの香りの話をしました。
顔が見えない相手に、言葉で香りを伝える表現力を磨かなければ、と再確認できる経験でした。
自前企画が通り、講座を開催する
札幌市生涯学習センター(https://chieria.slp.or.jp/)では『ご近所先生』の募集をしています。
学びたい人と教えたい人が、共に成長できる場を提供してくれています。
私はここで講師デビューを果たしました。
初回参加者は16名。
人前で話す、人数分のテキスト・材料を用意する、といったことを、他人を巻き込んで進行する経験を積むことができます。
百貨店や企業が開催している講座の講師募集は、『講師経験』を必要とするところが多いように思います。
申込書を確認すると、『講座経験は何時間ですか?』とった記入欄があります。
講師デビューの入り口として、とてもハードルが低い(講師初心者でも歓迎してくれる)、札幌市生涯学習センターで経験を積めて良かったと感じます。
担当の方は、今でも気さくに連絡をくれます。
助成金を活用して事業に価値を付けていく
北海道よろず支援さんに相談しているなかで、募集中の助成金の情報も聞くことができます。
相談員のほうから教えてくれるので、とても助かります。
創業者に対して、社会は意外と手厚く歓迎してくれるのだな、と感じました。
創業者向けの支援助成金に応募して通った企画もあります。通らなかった企画もあります。
・公益社団法人北海道中小企業総合支援センター
・札幌商工会議所
https://www.sapporo-cci.or.jp/index.html
出張も自分で決める
昨年、『香りのデザイン展』というイベントが東京ビッグサイトで開催されました。
行くか行かないかを自分で決められることに、ちょっと感動しました。
行って知識を深めるか、行かないでそのままでいるか。
これは投資なのだと、最高決定権は私にあります。
もちろん、行きました。
日帰りではなく、2泊3日にしました。
イベント参加以外にも、東京でアロマ空間を実施している施設を行けるだけ視察してきました。
その他で思うこと
協会に属するのか
私は、公益社団法人 日本アロマ環境協会の会員です。
協会認定の『アロマテラピーインストラクター』として活動しています。
この、協会に属する否かですが、極めるところ「必ずしも所属する必要はない」と私は感じています。
所属している理由は、下記の利点を活用しているからです。
・アロマテラピーの独自研究データの閲覧が可能
・賠償責任補償制度を受けられる(アロマテラピー活動中の事故を補償)
・協会主催の『アロマ大学』のスタッフができる
・資料のダウンロードができる
・協会認定店で扱うアロマテラピー製品の割引を受けられる
今は、協会が提供するサポートを活用しながら、事業をスムーズに展開できるようにする道の途中です。
おわりに
思い返せば色々なことがありました。これからも起こります。
でも、そのときその場で考えて考えて、道を選んできたので、不思議と楽しいです。
冒頭でも触れましたが、組織のポジションで輝く人、個人で事業をして輝く人がいると思います。
一番の幸せは、「楽しく働く」ことに尽きるのかなぁと思います。
どんな場所であっても、楽しさを感じて仕事ができる社会であることを願います。
写真は、神恵内で撮影した夕日です。
太陽が沈む速さを再確認するとともに、毎日のことも『刻一刻』と大事に進めていこうと感じる景色でした。